一人ぼっちの「ぼっち」

昨日、隣町の川に家族で行った。
わが町にも白鳥は飛来しているのだが、そこは橋の下にたくさん集まっているそう。
嫁の職場であるディサービスセンターでは、何度か観に行ったそうである。



子供達にも見せてやりたい。



そんな訳で、食パンを小さく切った餌を持って隣町へ。



到着したら他の家族やカップルなんかも、橋の上から白鳥を眺めていた。
ちょっとした観光スポット化してる様子。
早速子供達に餌の袋を渡し、私もパンをばらまく。



意外と白鳥は、その姿に似つかわしくない声で「白」とは言えない色のやつも多い。
「アヒルの方が可愛いなぁ」
そんな事を考えながらパンを撒いていたら、群れから離れたところからこっちに向かってくる一羽がいた。
どんな世界でも鈍臭いやつはいるもんだw
橋の上に人がいるんだから、餌もらえそうなもんなのに。


そいつの方にパンを投げてやる。
出遅れたんだから、ちょっとサービスだ。



・・・・



そいつは鈍臭い訳じゃなかった。
目の前に落ちたパン、他の奴に遠慮するように食べなかった。



もう一度。



今度は食べたが、隣の奴につつかれる。
慌てて逃げる。



どうやら奴はいじめられている様子だった。
だから群れから離れていたのか・・・



私はそいつを「ぼっち」と名付けた。
一人ぼっちの「ぼっち」。



私は他の奴の注意を引くように、ぼっちのいない方に多くのパンを投げては、ぼっちの前に少しパンを投げてやった。



私はこうして野生動物に餌をやるのは、本来良しとしない。
野生は野生として生きるべきだ。
それでも餌をやるなら、野性の掟で分配すればいい。
そう思っていたんだが・・・



可愛い姿でみんなの目を楽しませる白鳥。
そこにもいじめとか縦社会があるんだな。
もう行かない。
もう行かない。



もう行かないけどぼっち、どうか仲間の目を盗んで食べておけ。
次の地に辿り着けるだけ体力をつけておくんだ。
野生として負けない奴になってくれ。



私はどうだろう。
子供達や嫁は?



みんな不確実な社会の中で、群れから離れないように、孤立しないようにしてるんだろうか。



幸い私達は渡り鳥じゃない。
せめて家庭という巣の中だけは、安心させてやれるように。
そんな事を考えた休日。